犬の外耳炎
- 平和の森AnimalClinic
- 2024年3月18日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年4月6日
今回は再発を繰り返す犬の外耳炎のご相談がありました。
『耳がグジュグジュする。他院で治療しても、またなる』とのことで来院されました。
来院時の耳の様子です。状態を分かりやすくするために、毛を一部刈りました。
耳道の入り口が赤く腫れ、中からグジュグジュした膿が出てきていました。
膿のついたところが爛れて出血も見られます。

耳の中の汚れの顕微鏡検査の結果、細菌性外耳炎と診断しました。
また、治療の経過から、一部の抗生剤の効果がない菌(耐性菌)が原因として考えられたため、どの抗菌薬が効果があるか調べるために、薬剤感受性試験を実施しました。
以下が薬剤感受性の結果です。(+)が効果のある抗菌薬となります。
なんと、一つしかありません。

この結果をもとに、耳の洗浄と、効果のある抗菌薬を使い、治療を行いました。
2週間後の耳の様子です。とても綺麗になってくれました。

今後は、再発しないように定期的な耳の洗浄と、長めに抗菌薬を使用していきます。
また、細菌以外の外耳炎となる原因(基礎疾患)も探していきます。
犬の外耳炎は、耳の構造や、耳の毛、アレルギー疾患、寄生虫(ダニ)、異物、腫瘍などが原因となります。
そこに細菌感染やマラセチア感染などが起こることで悪化していきます。
今回のように、耐性菌の感染が見られる症例もあるため、難治性の場合や再発を繰り返す場合には、薬剤感受性試験や外耳炎の根本の原因となる基礎疾患の解決が重要となります。
春や夏になると気温が上がり、耳の中も蒸れやすくなるため、細菌が増殖して外耳炎の症例が増えてきます。
外耳炎になる前に、病院での定期的な耳の洗浄をおすすめ致します。
当院のトリミングでも毎回、セットで耳洗浄を行わせていただいております。
耳の痒みや、赤みが気になる方はお早めにご相談いただければと思います。